48人が本棚に入れています
本棚に追加
当初、ランク外は死んで当然と、面白がって正当化する者が多かったが、次第に様相が変化した。蔑まれていたランク外が、怒りだしたのだ。戦闘能力が低くランクは低いが、医者もいるし、看護師も居る。他に、学者もいれば、研究員など、様々な職種にランク外はいた。
警察にはがっかりしたとか、やっぱり助けないのかとか、様々な書き込みが発生していた。やがて、誰かが『やっぱりダメだ、ここで生きていたくない』『出ていきます』との書き込みが入ると、静かになった。
静かになったのは、実際に行動に出ていたのだ。荷物をまとめて、どこかに移動する人々が居た。ランク外が他の世界に行く事を、『死から来た者』は奨励していた。誰も、移動は止める事ができない。
水元が、警察署の受付に走ってきていた。瞬の姿を見つけると、怪我はどうかと確認する。
「とんでもないことが、起きているよ」
『死から来た者』の人口の1割が、炎座に移動しているという。
「何かありましたか?」
瞬は、自分のせいだとは、全く気が付いていなかった。
「ごめんね、瞬君、確かに高瀬に護衛を言われていたけど、組織が許可しなかった。その報いだな、あの映像」
たとえ高額の税金を払っていても、警察は自分達とって重要な人物しか守らない。そもそも、警察は取り締まる場所で、護ることを期待してはいけないのかもしれない。でも、底辺に属していれば、殺されても、犯人を捕まえてもくれない。映像で、薄々、分かっていたことが実体化されてしまったのだ。
「それは、いいのだけど。海晴に相談したかった」
「何を相談したいの?」
水元は、瞬を会議室に連れてゆき、まずイスに座らせた。飲み物を用意すると、人払いを行った。
「千都、どうする?」
「俺も、聞きたい」
千都も、会議室のイスに座っていた。
「まずは、携帯電話が圏内の場合の、俺との連絡方法」
携帯電話しか連絡方法は無かったが、別の方法を検討したかった。例えば、瞬の写る物を経由する能力は、距離は関係ない。それを利用して、互いに連絡が取れそうだった。
「今回、虎丸店長とは連絡が取れました。その方法を伝えたい」
瞬は、会議室の防音状況を確認してから、盗聴されているか、水元に確認していた。水元曰く、この会議室から、発信されている電波はない。
「俺、武蔵に会いたいのです」
最初のコメントを投稿しよう!