第1章

24/112
前へ
/112ページ
次へ
 当初、ランク外は死んで当然と、面白がって正当化する者が多かったが、次第に様相が変化した。蔑まれていたランク外が、怒りだしたのだ。戦闘能力が低くランクは低いが、医者もいるし、看護師も居る。他に、学者もいれば、研究員など、様々な職種にランク外はいた。  警察にはがっかりしたとか、やっぱり助けないのかとか、様々な書き込みが発生していた。やがて、誰かが『やっぱりダメだ、ここで生きていたくない』『出ていきます』との書き込みが入ると、静かになった。  静かになったのは、実際に行動に出ていたのだ。荷物をまとめて、どこかに移動する人々が居た。ランク外が他の世界に行く事を、『死から来た者』は奨励していた。誰も、移動は止める事ができない。  水元が、警察署の受付に走ってきていた。瞬の姿を見つけると、怪我はどうかと確認する。 「とんでもないことが、起きているよ」  『死から来た者』の人口の1割が、炎座に移動しているという。 「何かありましたか?」  瞬は、自分のせいだとは、全く気が付いていなかった。 「ごめんね、瞬君、確かに高瀬に護衛を言われていたけど、組織が許可しなかった。その報いだな、あの映像」  たとえ高額の税金を払っていても、警察は自分達とって重要な人物しか守らない。そもそも、警察は取り締まる場所で、護ることを期待してはいけないのかもしれない。でも、底辺に属していれば、殺されても、犯人を捕まえてもくれない。映像で、薄々、分かっていたことが実体化されてしまったのだ。 「それは、いいのだけど。海晴に相談したかった」 「何を相談したいの?」  水元は、瞬を会議室に連れてゆき、まずイスに座らせた。飲み物を用意すると、人払いを行った。 「千都、どうする?」 「俺も、聞きたい」  千都も、会議室のイスに座っていた。 「まずは、携帯電話が圏内の場合の、俺との連絡方法」  携帯電話しか連絡方法は無かったが、別の方法を検討したかった。例えば、瞬の写る物を経由する能力は、距離は関係ない。それを利用して、互いに連絡が取れそうだった。 「今回、虎丸店長とは連絡が取れました。その方法を伝えたい」   瞬は、会議室の防音状況を確認してから、盗聴されているか、水元に確認していた。水元曰く、この会議室から、発信されている電波はない。 「俺、武蔵に会いたいのです」
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加