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今、北原は『死から来た者』で検事をしている。瞬は、今も、色々と相談をしに北原の元に行っているが、流石に神宮寺の事は言えなかった。
北原は郊外で、都築と子供と暮らしている。
「そうだよね…」
北原が間違っていたのかは、瞬には分からない。でも、今の北原は、瞬を護り、会屋も護っていてくれている。多分、神宮寺が普通に生活できるようにもしている。
元々、きれいな姿だった北原だが、今は更に美人になっていた。都築の手によるものだと、瞬も気が付いている。北原は、都築と共に生きるモノとして、既に作り変えられているのだ。そんな北原を、神宮寺に見せたくなかった。
「花、買いましょう」
瞬は、大量の惣菜を作ると、エプロンを外した。
「そうだね」
亜里沙も、深く詮索しない。
神宮寺の店は、アンティークを売る店なのだが、一軒の洋館まるごとが店になっていた。
家具は、部屋に置かなければ分からない。神宮寺の母の趣味が、まるごと実体化した店だった。
一階では、喫茶店が併設されていて、小物は喫茶店部分で販売していた。家具を購入したい、もしくは見たいという場合は、店員に声を掛けて案内する仕組みになっていた。
「凄いですね…」
「でも、喫茶店の名前が談話室というのが、気に入りません。かわいい名前にしてください」
神宮寺は、瞬にオレンジジュースを、亜里沙にカフェオレを出していた。
「俺、オレンジジュースですか?」
瞬、異なる世界の人種なので仕方がないが、見た目は高校生には見えなかった。童顔なのかもしれないが、身長はそこそこあるのに、子供にしかみえない。
「ああ、瞬君は、いつまでも、そんなイメージなんだよね」
「で、俺達、ここでバイトしてもいいのですか?」
アルバイト募集の紙が、レジの横に貼付してあった。
「…いいけど、そっちこそ、いいの?」
瞬が、明るく笑っていた。瞬の能力、一般の御使い。周囲に喜びや、哀しみを伝染させてしまう。亜里沙が慌てて、周囲を見回し安全を確認する。
瞬は、御使いでありながら『死から来た者』に属しているせいで、本来ならば大量に居る筈の護衛が、亜里沙しかいない。
こうやって、瞬に御使いの能力が出てしまうと、誘拐や拉致の確率が上がってしまうのだ。
「はい」
神宮寺が、バイト募集の紙を、破いて捨てた。
「私は、日中来ます。クレープ屋のバイト、辞めてきます!」
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