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黒猫は、回収し組織に渡す。その渡した何かは、『死から来た者』で組織が分配する。
能力や階級、職種等で異なるが、能力の源として使用される。瞬は、黒猫と仲が良いだけではなく、人間として生きていた時間もあったせいか、吸収する能力を持っていた。
瞬の兄の高瀬や、水元、瞬の護衛をしている海晴に、瞬はその吸収した何かを渡す事ができる。瞬の、渡す量が少ないので、組織も黙認している。
「人間の場合は、死により、使用できるようになります。死で失い、『死から来た者』が与えて、こっちの世界の住人になるのです」
北原は、既に『死から来た者』の住人になっていた。安易に取り戻せば、消滅してしまう。
「もう遅いのか?」
「はい」
瞬は、振り返る事ができずに、店を出ていた。
亜里沙と家に帰ると、作っておいた惣菜が無くなっていた。これを食べられる人は、限られている。水元が帰ってきているのだ。
「水元さん!」
怒鳴ってみたが、水元の返事はない。水元は家賃のほかに、食費も払っているが、それだけでは間に合わない程に食べる。
「瞬、メシあるか?」
今度は、高瀬が寝起きという雰囲気でやってきていた。
瞬の兄、高瀬 有(たかせ ゆう)刑事をしている。北原の相手の、都築の部下だが、高瀬は都築と仲は余り良くない。
「今、温めます」
水元に見つからないように、地下の食料庫にも惣菜を置いていた。
食料庫に向かうと、虎が数匹、眠っていた。虎を起こさないように、そっと食料庫を開き、食材を運び出す。
「兄さん、俺、神宮寺さんのところでバイトを始めます」
高瀬は、これから仕事のようだった。
「そうか、アンティークショップで?」
「喫茶の方です」
瞬も大学受験があるので、あまりアルバイトはできないが、神宮寺は居心地が良いのだ。
「北原さんには、知らせたのか?」
瞬は、力無く首を振る。
「だよな、俺も、知らせることはできない」
徐々に、高瀬の目が覚めてきたようだった。
北原と、都築は、公認の夫婦だった。都築の妻は、やはり政治的な結婚のせいか、ほとんど、外交と称して他国に行っていた。そこで、恋人と暮らしているとの噂だった。
都築は、周囲に隠さず、北原に執着していた。愛しているとの名目で、北原が他の人間と関わる全てを把握している。
「瞬、法律系に進むのだろ。そうすれば、刑事が無理でも、検察を目指せる」
「はい」
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