524人が本棚に入れています
本棚に追加
/199ページ
麻生咲那と出会ったのは、半年前。
妹の友達で、正直に言うなら一目惚れ。
俺といる時は、緊張しきっていた顔が妹の彩といると解れて、それこそ彼女の周りに花が咲いてしまうんじゃないかというほど、可愛い笑顔を見せる。
綺麗だな、と思った。
そして、――俺のものにしたくなった。
それが、最初。
誰もいない、旧校舎、4階の空き教室。
その前の廊下をおどおどした様子でキョロキョロしている咲那。
俺はその背後に近づくと、咲那の首に腕をまわして彼女を捕まえた。
「なにやってんの」
「わぁっ」
ビックリしたように、肩がびくん、と跳ねる。
その様子があまりに可愛くて、頬が緩んだ。
「不審者、だったけど」
「いえっ、不審者なんてつもりは、なくて…!」
「うん、こんな可愛い不審者いたら、すぐ捕まるからね」
ちゅ、と耳にキスを落とす。
触れた首筋は、なめらかで、白くて、近づいた髪からはシャンプーの匂い。
小さくて、うさぎみたいに震えてる。
その体を後ろから羽交い絞めにすると、この上ない幸せが沸きあがってきた。
最初のコメントを投稿しよう!