04*Liar*

2/36
524人が本棚に入れています
本棚に追加
/199ページ
麻生咲那(あそう さな)と出会ったのは、半年前。 妹の友達で、正直に言うなら一目惚れ。 俺といる時は、緊張しきっていた顔が妹の彩といると解れて、それこそ彼女の周りに花が咲いてしまうんじゃないかというほど、可愛い笑顔を見せる。 綺麗だな、と思った。 そして、――俺のものにしたくなった。 それが、最初。 誰もいない、旧校舎、4階の空き教室。 その前の廊下をおどおどした様子でキョロキョロしている咲那。 俺はその背後に近づくと、咲那の首に腕をまわして彼女を捕まえた。 「なにやってんの」 「わぁっ」 ビックリしたように、肩がびくん、と跳ねる。 その様子があまりに可愛くて、頬が緩んだ。 「不審者、だったけど」 「いえっ、不審者なんてつもりは、なくて…!」 「うん、こんな可愛い不審者いたら、すぐ捕まるからね」 ちゅ、と耳にキスを落とす。 触れた首筋は、なめらかで、白くて、近づいた髪からはシャンプーの匂い。 小さくて、うさぎみたいに震えてる。 その体を後ろから羽交い絞めにすると、この上ない幸せが沸きあがってきた。
/199ページ

最初のコメントを投稿しよう!