04*Liar*

4/36
前へ
/199ページ
次へ
空き教室に入ったら最後だ。 「咲那…っ」 「んん…っ」 ほとんど貪るように、咲那にキスをする。 後ろから抱きしめていた腕を離して、強引に前を向かせ、空き教室の空気に触れる余裕すら与えない。 咲那も分かっているみたいにキスをすれば口を開く。 覚束ない不安定な舌先に触れて、咲那の口の中を好きにする。 触りたかった。 この身体に。 触れたかった。 この唇に。 「ん…っ、苦し……っ」 立っていられなくて座り込んでしまっても、俺はそのままキスを落とす。 壁に寄りかかって、くたりとしてしまっている咲那に容赦はない。 酸素を求めて上下する肩も唇も、全て俺のものにする。 猶予はない。 時間は短い。 昼休みだけの、俺の恋人だから。 「待っ……んぁ…っ、か、かなめ……っ」 求めるみたいに、真っ赤な顔して。 酔わされ、落とされたみたいに溶けたような目をして俺を見上げる。 そして、救いを求める様な、落として欲しいようにも聞こえる、俺の名を呼ぶ声。 『要』に変わる瞬間。 「……咲那、もっと呼んで」 俺は突き落とされるように、このずるい女を好きになる。
/199ページ

最初のコメントを投稿しよう!

525人が本棚に入れています
本棚に追加