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空き教室に入ったら最後だ。
「咲那…っ」
「んん…っ」
ほとんど貪るように、咲那にキスをする。
後ろから抱きしめていた腕を離して、強引に前を向かせ、空き教室の空気に触れる余裕すら与えない。
咲那も分かっているみたいにキスをすれば口を開く。
覚束ない不安定な舌先に触れて、咲那の口の中を好きにする。
触りたかった。
この身体に。
触れたかった。
この唇に。
「ん…っ、苦し……っ」
立っていられなくて座り込んでしまっても、俺はそのままキスを落とす。
壁に寄りかかって、くたりとしてしまっている咲那に容赦はない。
酸素を求めて上下する肩も唇も、全て俺のものにする。
猶予はない。
時間は短い。
昼休みだけの、俺の恋人だから。
「待っ……んぁ…っ、か、かなめ……っ」
求めるみたいに、真っ赤な顔して。
酔わされ、落とされたみたいに溶けたような目をして俺を見上げる。
そして、救いを求める様な、落として欲しいようにも聞こえる、俺の名を呼ぶ声。
『要』に変わる瞬間。
「……咲那、もっと呼んで」
俺は突き落とされるように、このずるい女を好きになる。
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