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「悪いけど…、ちょっと今、俺混乱してるんだけど」
『えっ?
あ、今のお兄さん!?
あー、じゃあ、俺切るわ。
あとは、オマエでガンバッテ!』
「ちょっ、無責任!
ま、待って、りょ…」
ツー、ツー、ツー。
莉奈が話し終える前に、電話は切れた。
自動的に、携帯の画面が待ち受け画面に戻る。
莉奈ははだけたワイシャツを、着直す。
隠れていない、肩と首筋が色気を放っていて、こんな時でも俺を誘っていた。
「……嘘、だったの」
莉奈が観念したようにポツリと口を開いた。
「……」
「お、お兄ちゃんが、どんな反応するか見たくて…。
亮に彼氏のふりをしてもらってたの。
わざわざ三年生のとこで、自慢までしてもらって……」
きゃしゃな肩が小刻みに震えてる。
莉奈がズッと鼻をすすった。
「…だって、怖かったの。
お兄ちゃん、本気で来る女の子のことはみんな拒否するって有名で…。
ましてや、私、妹だし……。
わ、私、お兄ちゃんに拒否されたら、生きていけない…っ!」
ふぇっと泣き出して、そして泣き崩れてしまった莉奈。
ごめ……、と謝る声は、もう声にもなっていなかった。
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