524人が本棚に入れています
本棚に追加
「お兄ちゃん」
「……んだよ」
「今日、リサ先輩とエッチなことしてたでしょ」
その日の夜、リビング。
俺らの両親は共働きで、どちらも夜遅いためいつも家にいない。
ソファでのんきにテレビを見ていたとき、唐突に莉奈が言い出した。
「……だからなに」
できるだけ、冷静な声で答える。
でも多分、完璧ではなかっただろう。
数時間前まで、あんなに散々セックスもしたはずなのに莉奈が言う『エッチ』という単語が嫌に生々しく聞こえる。
俺の中で、激情が、生まれる。
「友達が見たって言ってたんだもん…。
お兄ちゃんがちゅ、ちゅーしてたって…」
「……あぁ…」
多分舌を入れてのキスを見てたんだろう。
じゃなきゃエロい方向に話は進まない。
「……その人と、付き合ってるの?」
「そんなわけないだろ。
ただセックスするだけの人」
「んなっ……!!
ふ、不潔…っ!」
「悪いかよ」
最初のコメントを投稿しよう!