第一章 談話室

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「花、買いましょう」  瞬は、 大量の惣菜を作ると、エプロンを外した。 「そうだね」  亜里沙も、深く詮索しない。  神宮寺の店は、 アンティークを売る店なのだが、 一軒の洋館まるごとが店になっていた。  家具は、部屋に置かなければ分からない。 神宮寺の母の趣味が、 まるごと実体化した店だった。  一階では、 喫茶店が併設されていて、 小物は喫茶店部分で販売していた。 家具を購入したい、 もしくは見たいという場合は、 店員に声を掛けて案内する仕組みになっていた。 「凄いですね…」 「でも、 喫茶店の名前が談話室というのが、気に入りません。 かわいい名前にしてください」  神宮寺は、 瞬にオレンジジュースを、 亜里沙にカフェオレを出していた。
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