第1章

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「コドクの正義」 成瀬 小 [12月13日 16時03分] それは誰も居なくなった放課後の教室での出来事だった。 「あ、あの!わ、私を前提に交際が手紙でこの結婚を貰ってください!」 そう叫ぶと、少女は頭を下げ1枚の手紙をコウに差し出してきた。クラスで見たことのないショートカットの似合う小柄な少女だった。 今日は朝から分厚い雲が空を覆っていて天気予報でも降水確率は80%で雪が降ると言っていた。 その予測があたり先程から少しずつではあったが、雪が降り始めていた。 今年は雪がよく降る。 御堂コウ(みどうこう)がこの中学校に転校してきたから1週間ほどたっていたが、卒業まであと3ヶ月この中途半端な時期に転校してきたコウは学校に馴染めずクラスでも殆ど会話をすることがなかった。 そして放課後には、遅れてこの時期に転校してきたコウが授業に追い付くためにと担任が態々用意してくれたのか、薄い参考書とそれを読み終わったあとに解くプリントが渡されていた。参考書には丁寧に説明や重要な箇所には蛍光ペンで目立つように色が付けられていた。もしかしたら以前だれかが使っていたのかもしれない。その課題を転校してから毎日放課後1人教室に残り黙々とこなしていた。 家に帰ってからやっても良かったのだが、家に居れば勉強を教えてもらうことは出来るだろうが、居たら居たで騒がしく集中出来ないので放課後に学校の教室や図書室で残ってやることが多かった。丁寧な説明が書いてあるものの、そもそも勉強と無縁だったコウには正直さっぱりわからず進みは悪い。 そして、傘は持ってきていたが積もると面倒だったので補習を切り上げ帰ろうかと考えていた所で見知らぬ少女が突然教室に入ってきてコウに告白をしてきたのだった。 もっとも、少女は焦っているため何を言っるかわからない状態だったし、コウはコウで鈍感さ故にこれが告白であることが全然わからなかった。 「え、えーっと?」 コウが状況がわからず返答に困りながらも手紙を受け取ろうと手を伸ばした所、教室の後方のドアがバタンと大きな音をたて新たな少女が入って来たかと思うと、先程の手紙の少女の頭を叩くと襟首を掴みそのまま廊下へと引っ張っていった。 伸ばしたてが空を切り、コウが呆気に取られていると、先ほどの2人が教室から出た直ぐの場所で話しているのか教室内にまで声が聞こえてきていた。 『里見ちゃん痛いよー。』
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