9744人が本棚に入れています
本棚に追加
華原さんからの連絡は、その後なく。
閉店時間になって、俺は店を閉めた。
今夜は華原さんも珠美さんも来るだろうかと考えながら、いつもと同じように休み、家のことをこなし、買い出しをして下拵えをしていると。
「よう。今いいかい?」
「相原さん!」
まだ開店までだいぶ時間があるのに、相原さんが入ってきた。
話の内容は、分かっている。
「珠美さんのことですね。」
「やっぱりここに来たんだな、あいつ。」
カウンターに座った相原さんに、お茶を入れて出す。
開店前なので、ビールはまだ。
「珠美さん、家出してきたって言ってましたよ。」
「ああ・・・まあ、なあ。」
気まずそうに、頭をポリポリ掻く相原さん。
普段狼狽える姿をほとんど見せない人なので、とても困っているように見える。
最初のコメントを投稿しよう!