第1章

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「写真ってもなぁ・・・」 俺にも一緒に写れってぇんだよ、と相原さんはため息をついた。 それはそうだろう、結婚式の衣装を着ての撮影だ。 新郎新婦が揃ってなくてどうする。 「苦手なんだよ、そーゆーもんが残るってのは。自分の写真なんざ見たくもねえ。」 一人で好きなだけ撮ってこいと言ったそうな。 そりゃあ機嫌も悪くなる。 「相原さんとの記念にしたいんじゃないですか、珠美さん。」 ウエディングドレスで一人写真。 白無垢や色打ち掛けで一人写真。 それは、全然結婚式代わりじゃない。 「・・・・・・それによ、写真てのは残るじゃねえか。」 「ええ、記念ですから。」 「あんましよくねえだろ、それ。」 相原さんの顔が、真剣になった。
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