第1章

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「今、この時代に、社長さんのことが好きなんだから、いいじゃない。社長さんが年とってよぼよぼになって介護されて死んだら、そのときはそのときよ。  私たちの時間は長いんだから、相手の寿命が怖くて誰とも交われない生き方をしてたらつまらないじゃないの。  私たちが、人間社会の中に苦労して混じってることの覚悟、知りなさい。」 混じっていることの覚悟。 そう、華原さんだって帰る場所がある。 故郷には、吸血鬼の長であるバサラブさんの居城があって、ほとんどの吸血鬼がそこに籠もっているらしい。 そこにいれば、周囲は自分と同じ仲間だ。 何も気にしなくていい。 にもかかわらず、この人もミハイさんも、自分たちとは異質で餌でもある人間の中に混じって生きている。 そのためにしなくちゃならない覚悟って、やはりあるんだな・・・・・・
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