第1章

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「時代ですからねえ。お歯黒なんて全然流行ってなくて。最近、ホワイトニングしたんですの。」 お歯黒なのに、ホワイトニングした歯が真っ白くきらりと輝いている。 いいのか、妖怪としてそれで。 「もともと、お歯黒べったりってえ妖怪は、人間に害を加えるもんじゃあないからねえ。」 「そうですよう。ちょっと驚かせはしますけれど、無害なんです。」 琴子さんの紹介なので、有害なわけはないけれど。 ここのセンター・・・支店、あるんだよな、いくつか都内に。 その社長がお歯黒べったり・・・ いや、今更気にしちゃあいかん。 病院の院長だって、吸血鬼じゃないか。 ああ・・・俺の周囲、人外が多いぞ。 気のせいなのか、他の人間が気づかないだけで、かなりの数の人外が人間社会に混じっているのか。 怖くて聞けない。
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