第1章

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社長の命令で、他の店員さんに案内され、俺と琴子さんはメンズのレンタル衣装フロアに。 「珠ちゃんの白無垢と色打ち掛けん時は、社長さん、普通に紋付き袴でいいだろうねえ。」 でしょうね。 そこまで男性が衣装を替えなくてもいいと思う。 「白ドレスのときは、黒のタキシードとして。色ドレスんときに、家族写真を撮りたいんだそうよ、珠ちゃんは。」 「まあ、妥当ですね。」 「そん時の社長さんとあのでかい息子の分の衣装は、さすがに決めとかないとねえ。黒じゃあつまらないし。」 え。 「く、黒じゃダメなんですか。」 「お嫁さんの衣装に合わせて、男性もカラーの衣装になるってのもいいもんよ、兄さん。それに、男二人が真っ黒で同じもんを着てたら、どっちが旦那さんか分かりにくいじゃあないか。」 そんなものなのか。 よく分からないが、本日の俺の役目の半分は、マネキンだし。 もう、何でも着せてくれ。
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