第1章

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「・・・・・・珠ちゃん。悪いこたぁ言わないから、こいつだけはいけないよ?」 「ええー?お気に入りの一つなのに!」 そう言って琴子さんが唯一ダメだししたのは、色打ち掛け。 ・・・・・・これは・・・・・・ 「お、俺も止めた方がいいと思います。」 だって!鱗!鱗柄! 初めて見たぞ、これ! 腰から下が、びっちり鱗に覆われ。 胸元と袖に、元気な鯉が泳いでいる。 「お魚柄ってない?って聞いたら、紅子ちゃんが出してきてくれたのよ。何かのイベントで使ったやつで、生地もそんなに高級じゃないから、これならほぼタダにしてくれるって!」 そりゃそうだろう、どう見てもこれ、鯉のぼりのリサイクル生地って感じだ。 魚魚と喜ぶ珠美さんには悪いが、琴子さんと俺は反対させてもらった。 これはない。 いくら魚好きでも。
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