第1章

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「と、とりあえず、荷物をそこに置いて座りませんか?」 話くらいなら聞く。 泊めないが。 俺のところより、琴子さんがいるじゃないか。 毛を逆立ててフーフー言ってた珠美さんが、まだムッとしたままカウンター席に座った。 すかさず、ビールと刺身を出す。 「あれ?珠美さん、旅行?」 今頃になって、荷物に気づいた木戸が、余計な一言。 「さっきから、あんた、人の話聞いてんの!?馬鹿!」 珠美さん、思いっきり木戸をひっかいた。 いや、落ち着こう、珠美さん。 木戸もミハイさんも、何も聞いてないから。 「いつにも増して凶暴ではないか。とうとう野生に帰ったか。」 そこ!発言! これ以上、刺激してどうする!
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