第1章

7/75

9739人が本棚に入れています
本棚に追加
/77ページ
「それで、どうしたんですか、珠美さん。泊めませんけど、話を聞くくらいならできますよ?」 「やだ!泊めてよ!」 「図々しいぞ、猫!貴様が泊まるなら、私も泊まらねばならんではないか!」 何故そうなる。 いや、どちらも泊めない、泊めるもんか。 「・・・いいもん、どっかのホテル、探すから。」 あ、拗ねた。 困ったな、行方不明になられても、相原さんに何て言っていいやら。 木戸とミハイさんが、次々に珠美さんの機嫌を損ねてくれるもんだから、話も聞けない。 「あらー、今夜も全員揃ってるのねー!」 ヤタの鳴き声と戸が開く音と明るい声が、ほぼ同時に店内に響く。 「らっしゃい、華原さん。」 「また吸血鬼かよ!」 「厚かましくやってくるな、雌ゴリラ!」 「ミラちゃん、泊めて!」 全員声がかぶって、入ってきた華原さんが目を丸くした。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9739人が本棚に入れています
本棚に追加