第1章

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「じゃあ、女二人で飲み直しましょうか。案内するわよー。」 来店したばかりだというのに、華原さんは珠美さんを促した。 ああ、分かってくれたらしい。 何か訳があるって。 華原さんのマンションで、家出の理由を聞いてくれると助かる。 男性陣の数倍ありがたいぞ、華原さん! 「和左に、私の行き場所言わないでよね!」 そう言い残して、珠美さんは華原さんに付いていってしまった。 「あーよかった、吸血鬼が増えなくて!」 「凶暴なやつだ!泉実の店には相応しくない!」 高級ワインを消費してくれる上客が、目の前で逃げたんだぞ? 店主としては、ちょっと損したことになる。 でも、今夜は珠美さん優先ということで。
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