第1章

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冒険してみないか? どれだけの人間が、僕にこのことばを投げかけただろう。 周囲の騒がしさに反して薄れゆく意識の中、なぜかこんなことを考えていた。ふと目線を下げると、身に着けた防具は所々欠け落ち、手に持つ武器は血が滴り刃こぼれしているのがわかる。 ここが自らの冒険の終着地点であることを悟ったのであろうか。だからこのようなことを考えてしまったのだろうか。このような状況であるのに、やけに冷静な自己分析をしていることに思わず笑みをこぼしつつも、顔を上げて得物を構えなおす。 最後の最後まで冒険し続けるために。 そして冒険を、終わらせるために...。
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