第1章

3/9
前へ
/36ページ
次へ
そんなこんなで、一人の講師に連れられてやって来た一つの教室。 アカデミーは基本大学のように必修と自由選択で講義をある程度自由に選べるらしいのだが、週に一度クラスで集まる時間があるらしい。 それが今日であり次の時間だ。 さてさてここで問題になってくるのが千尋のイケメンっぷりだ。 この見た目肉食系に見えて実は草食系なイケメンを先にするか後にするか、答えは明白である! どっちでも大して変わらん! という訳で担任らしき人の前置きが終わり、呼ばれたので入る。 緊張の一瞬だが、勢いが付けばそのままゴールまで行ける俺は特に問題なく中まで入り、緊張に弱い千尋はガッチガチに凝り固まって着いてくる。 こいつ、改まった場所にはホント弱いな! 簡単に自己紹介を済ませて千尋の番、軽く脇腹をつねると若干緊張が和らいだのかすらすらと一分掛けて自己紹介をする。なげぇよ。 二教室分ほどあるこの教室の真ん中辺りに丁度三人分空いていたのでそこに座ると、隣に千尋がやって来た。寂しがり屋かテメェー! 「こんにちは」 前の席に座る二人組の女子が挨拶してくる。 千尋は担任の話に耳を傾けているのか無視。こいつめ。 「千尋おい、こんにちはだとよ」 「ん?あぁ、こんちは」 「……」 「……」 コミュ症かっ! 特に会話内容を考えていた訳ではないのか、二人組の女子も微妙な笑みを浮かべて前に顔を戻した。 ひそひそと聞こえる囁き。 千尋への不満の声。 逆に聞こう。なんで初対面で盛り上がれる事が前提で話し掛けて来るのかと! 女子の勝手さに苛っとしながら担任の話に意識を向ける。 すぐに飽きて、指遊びをしながら聞き流した内容をまとめると、次回は使い魔を召喚して契約しますよとのこと。講義内容が全く記憶にないや。 「さてと、次の講義はなんだ?」 「次はー、お、早速一コマ空いてるな」 「うげぇ」 聞いといてなんだけど空いてると聞いてげんなりとしてしまった。 暇な時間は何をしようかと学内地図を睨み付けていると、千尋に襟首を掴まれた。 「おげ!?なにしやがる!?」 「いや暇だしダンジョンにでも行こうぜ」 「ダンジョン?なんだっけ?」 「造りにもよるけど、近場の魔物をどういう原理か中に閉じ込める塔だったり洞窟だったり、俺はよく魔法の練習に利用してたぞ?」 「えー、疲れるじゃん」
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加