第1章

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「お!何々ダンジョン行くのか?俺達も今から行くから一緒にどうだ?」 そんな俺達の会話が耳に入ったのか、異世界特有の不思議染色赤髪男が姿を現した。 後ろに控えているさっきとは別人の二人組の女子は困った顔をしている。知り合いなのかナンパの途中だったのか判断に困る。知らず女子達と同じような顔になっていた。 前髪が目に入る事を嫌がったのか、赤髪は前髪を逆立てて……ワックスの光沢がないんだけど、なに?天然? 「おぉ!来たばかりで道が分からないからありがたい!」 千尋は快諾。固い握手まで交わしているのを尻目にこっそり帰ろうとするが、 「帰んな」 「おげっ」 またも襟首を掴まれて阻止された。せめて肩とかにしてくんないかなあ! ではまず紹介から、俺達に話し掛けてきた赤髪男改めグレイス・ヴォルケイノは名前から分かる通り火の適性が高く、接近しての白兵戦が得意とのこと。 次、癖っ毛なのか黒髪のショートボブが猫耳を思わせる形に跳ね上がっている。目付きは若干鋭く知的な印象を受けた。リミナ・シーケンスは光の適性が高く、後衛からの高火力砲撃が得意とのこと。 最後、ニコニコ笑顔が眩しい深緑のロングヘアーな少女。ルリミア・キャスティンは三人組の潤滑剤、素直じゃない二人を後ろからニヤニヤ見守っているようだ。風の適性が高く、援護が得意とのこと。 何こいつら?俺達要らなくね?一つのチームとして出来上がってるじゃん! そしてやって来たのはダンジョン前、尖塔の城が目の前に謎の威圧感を持って聳え立っている。これダンジョンちゃうよ絶対! 地上三階、地下二階からなるこのダンジョンは一度も最後まで攻略された事がないらしく、奥の奥には未だ未発掘の宝が眠っているのではないかと囁かれているとのこと。 遺跡だコレー!? 「おいおいおいおいおい!?これ90分で戻れるのか?」 「……一時間だけ潜って、後は休憩で」 その案に異論はないようで、三人組は頷く。 入り口で買ったネックレス。これは持ち主の魔力量が一定以下になったら強制的に外に転移するという安全装置だ。 まぁ、即死級の攻撃をくらったらそのまま昇天なんていう事例もあるらしいから絶対安心じゃないけどな。
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