第1章

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ダンジョンに入る前の準備。 体に魔力を纏い、魔法衣と昇華させる。 魔法衣とは受けるダメージを魔力で肩代わりする服装のこと。これとネックレスを併せる事で、死者が激減したので魔法衣を発見した人は偉大だ。 魔法衣の形状は人様々で、俺の魔法衣は黒シャツに黒のロングコート、黒い長ズボンに黒いブーツ、更には黒の指ぬきグローブ。見事に全身黒尽くし。いやまぁ適性属性が闇なのもあるけどさ、これはすんごい中二臭いです。 グレイスは紅のフルメタルアーマー、邪魔なのかフェイスヘルムを脇に抱えて居る。 リミナは白魔導師の様な、黄色の線が入った純白のローブ。黒髪が見事に浮いています。いや、ある意味映えてるのか? ルリミアはそれなんて魔法少女?と言いたくなるほどフリルの付いたゴスロリの様な緑色の服装。くるくる回ってご満悦な様子。 そんで千尋は何故か魔法衣を纏わず冷や汗をびっしょりと、あぁ、俺の出番か。 三人に一言断って千尋の襟首を思いっきり引っ張って離れる。ひそひそ話開始! 「なに?どしたんよお前」 「いや、うん。帝として動いてる時って魔法衣を纏っててさ、知られてると流石にバレる。一発で」 申し訳なさそうに目を逸らす千尋。 えぇー、どうしよう。 「そうだ、あれだあれ!魔法衣の形状変えれば良いんだよ!」 「はあ!?魔法衣って形状固定だろ!?ムリムリムリムリ!出来ねぇって!」 「いいや出来るお前なら出来る!何故ならお前はむかつく程万能だからだ!この便利なやつめ!」 「んな適当な」 「イメージを強く持て!自分なら出来るとひたすらに信じるんだ!さぁやれ!お前なら出来る!!」 なんか変なテンションに成りながら千尋を激励すると、千尋は落としていた肩を持ち上げて、晴れ晴れとした顔で、 「俺、やってみるよ」 ……出来なかったら逃げよう。 脚に魔力を集めて遁走する準備を密かに進めながら、千尋の魔法衣が出来るのを待つ。 千尋が魔力を纏うのを感じると同時に、魔力の密度が上がり、魔法衣となってその体を包み込む。 服装はそのままに、胸当て肘当て脛当てと、銀色に輝く小さな鎧が要所要所に作られた。 「……自転車は?」 「思ったけど!俺も思ったけど言うなよ!!」 自覚があったのか、指摘すると千尋は涙目になった。
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