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ジンジンと腫れ上がった頬を抑えながらズリズリと後退する。恐ろしい、恐ろしい、恐ろしい、恐ろしい!! 蛇目は知っていたはずだ。彼の恐ろしさを、知っていたから敵対しないように彼のそばにいたんだ。彼に嫌われることがないように。
「ヒッ!? やめて、許して、お願い」
殴られるのは嫌だ。とても痛い。せまる、せまる、せまる、山都の手が蛇目の頭を掴んだ。彼のパワーなら頭くらい簡単にもぎ取ってしまいそうだ。間近にせまる死の感触に蛇目はガタガタと恐怖に震えた。
「もう、こんなこと、あ? 気絶してやがる」
あっさりとは言わないが、こうして蛇目日傘と山都大聖。蛇と獅子の勝負は幕を閉じた。
「あ、ヤバいっ、血を流しすぎたな」
ドサッと山都もその場に倒れ込む。今度は死ぬかもなと思いながら山都は深い闇の底に沈んだ。
数日後、山都は屋敷の布団に寝かされていた。おそらくここは真朱の屋敷だろう。しかし、
「なんでナース服の蛇目がいるんだ?」
本当に死んだかと錯覚しそうだ。ミニスカートを恥ずかしそうに引っ張る彼女の両足には蛇の鱗がぐるりと円を描くように巻き付いている。生足に蛇の鱗とはなかなかマニアックだ。
「あんまりじろじろ見ないでくれるかなぁ。こうして肌をさらすのは慣れてないんだ」
ナース蛇目はモジモジしながら言った。
「すまん、っていうか、説明しろよ。なんでお前がここに? なぜにナース服?」
「私だって嫌だったんだよぉ、けど、山都くんを看病したいのならこの服に着替えろって伊織って子が、というか、山都くん、どうして、ここには幼い女の子ばっかりなのかなぁ!? メイド幼女に、着物少女と小学生!? ロリばっかりじゃないかなぁ?」
「知らん、勝手にそうなっただけ、イタタタ」
「まだ、動いちゃダメ、お腹に穴が開いてたんだからぁ」
さあさあ寝ましょうねと、ナース蛇目は山都を強引に寝かせ。そろそろと彼女も布団に入ろうとする。
「何やってんの?」
「身体が冷えたから、山都くんの人肌で温めてもらおうと思って、ダメ?」
「ダメに決まってますっ!!」
ドンッと扉を開いて現れたのは、ナース服、姿の真朱とそれに続く、陰火だった。
「この蛇女っ!! ちょっと隙をみせたら山都様に取り入ろうとするんですから!!」
「違うよぉ。私は山都とヌクヌクしようとしただけでぇ」
「問答無用、陰火さん、彼女を水風呂に叩き込んでおいてください」
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