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「了解しました」
フンッと蛇目の片足を掴んだ陰火は、強引に布団から引きずり出して、ズルズルと引きずっていく。
「え、嘘ぉ、冗談だよねぇ、私を水風呂に入れたら、冬眠しちゃうんだけどぉーーーー!! いや、冬眠はしなくても、凍えちゃうかもー、陰火ちゃん。ごめん、謝る。串刺しにしたこと謝るから離して、ね?」
「わたくし、串刺しにされたせいで耳が遠くなりましたから聞こえません」
うわーーーんと蛇目が水風呂へ、連行されていくのを見届けた真朱は山都に言った。
「また、むちゃをされたんですね」
我が家のお母さん的、ポジションの真朱の言葉に山都は頬をかいた。
「構いません。山都様はそういう人だと知ってますし、私を助けるために来てくれたのは感謝してます」
「いや、感謝するって言うなら、陰火のほうだろ。あいつの頑張りがなかったら俺は蛇目を倒すことはできなかった」
「わかってます。でも、陰火さん、山都様も、自分のことを優先してください。普通だったら死んでしまう傷だったんですよ。いくらなんでも限度を超えてます。いくら常識外れの異質な力を持っていたっていつか死んでしまいます」
ギュッと膝の上で拳を握りしめ、
「戦うなとは言いません。でも、命を粗末にするような戦い方はやめてください。マズいと思ったら逃げてください。自分のことを最優先で考えてください。そうしないと寂しいです」
寂しいと真朱は言った。出会った当初は単に依存しているだけだった。死にそうな自分を支えるため程度にしか考えてなかった。
けれど、山都や陰火、伊織と過ごすうちに真朱の中で彼らは失いたくない人達になっていた。むかつくし、喧嘩もする。イライラして怒ることもあるけれど、楽しい。こんな毎日が続けばいいと思っていた。
「ごめんな、真朱」
「謝ったって許してあげません。山都様、しばらく反省しておいてください」
プイッとそっぽを向いた真朱が出て行く。
「また、泣かせてしまったんだね。山都」
「伊織は、ナース服じゃないのか」
蛇目、真朱、陰火と続き、最後は伊織だったのでナース服を期待したが、彼女はいつも変わらない青色の着物だった。少し残念。
「ハッ。君は小学生や幼女にナース服を着せる変態だったのか?」
「いや、待て、俺が言ったわけじゃないぞ。お前が言ったんだ。蛇目が言ってた」
「別に私はきっとナース服で看病したらきっと山都も喜ぶだろうねと言っただけさ」
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