第1章 卯月

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すれ違う人の子たちを不思議そうに観察していた朔夜(さくや)だったが、気付けばすれ違う人の子たちも同じような目で自分を見て怪訝そうな顔を浮かべている。 目の前の鏡のような建物に自分の姿が写っている。 黒い長髪を一本に束ね、黒い衣を羽織っている。 全身が闇のようだった。 雪のような肌と月のような金色の瞳を除いては。 なるほど、天界ですら朔夜の格好はただならぬ気配を醸し出す。 それが千年もたった人間界なら異端そのものである。
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