第1章 卯月

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朔夜は二度、こっちの世界に来たことがある。 初めて来たのはまだ赤子のころ。 天界では月白の儀(つきしろのぎ)を迎えるために、生まれたばかりの子を人間界で育てる。 天界は人間界よりも時間の流れが遅い。 月白の儀を迎えるのに人間界では十数年で天児から天人になれるほど成長するものが、天界で育てようとすると千年もかかる。 成長した天児は、月白の儀で月帝から天の羽衣を授かることで、天人となる。 朔夜もこのために十年ほど人間界で過ごしたことがある。
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