31人が本棚に入れています
本棚に追加
SideA
★★★★★
僕は下戸
毎月の会社の慰労会ではハンドルキーパー
同じ方面に帰る同期の男と上司の貴女をいつも乗せて帰る
貴女は僕より4つ上のバリバリの営業ウーマン
僕の教育係
何でもキビキビとこなす貴女は入社した時からずっと僕の憧れ
先に助手席に乗っていた同期を降ろして、貴女の家へと向かう
貴女は後部座席、僕の斜め後ろ
お酒は強いみたいだけど、僕の車の中ではいつもうつらうつらとしている
特別、会話もなく
いつもの様に貴女の家の近くまで来たとき、声を掛け起こす
「う~ん」と伸びをして、いつもの様に「ありがとう」と言ってくれるものだと思っていた
「このままドライブしよ」
僕の胸は跳ね上がった
もうしばらく貴女と2人っきりで居られる
貴女と行けるはずないと思っていた場所まで行き、車を止めた
外へ出て貴女はキラキラとした眼下を眺め「キレイ」と呟いた
僕は隣に立つことなんかできず、貴女と少し距離を置いて斜め後ろから貴女の横顔を眺めていた
暗くてハッキリとは見えないけれど、「キレイ」と言った貴女の方が綺麗だと思った
後ろを振り向いた貴女と目が合い、しばらく見つめあっていた
貴女の瞳に引き寄せられる様に僕はそっと近づき、そっと貴女の手を取った
「プライベートでも僕を教育してくれませんか」
変なことを言ったかも知れない
けれど貴女は頷いて手を握り返してくれた
それからは僕の助手席に座るのは貴女だけ
最初のコメントを投稿しよう!