同僚

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SideB ★★★★★ 今日も少し飲みすぎた 会社のお金で飲めると思ったらついピッチが上がってしまう いや、違う 送ってくれる君が居るから安心して飲めてるんだと思う 私は君の車の後部座席 君は同期くんと談笑しながら運転している 先に同期くんが降りて君と二人 私は目を瞑り眠ったふりして、君と出会った時のことを思い出していた 私が26歳の春 君は新人で、私は教育係 営業のノウハウ、言葉遣いなど社会人としての基本を教え込んだ 素直で飲み込みも早かった 会社の慰労会にはいつも車で来ていた君 お酒飲めないんだね 帰る方向が一緒だと分かった時、君は車の後部座席のドアを開け「どうぞ」と言った 助手席は…同期くんなんだね そっか、私は君たちの上司だから上座になるわけね 眠ったふりが本眠りになろうとした時、私の家が近くなり声を掛けられた このまま…まだ一緒に居たい ふとそんな気持ちになった 伸びをして、「このままドライブしよ」 そう言っていた 「キレイ」としか言葉が出なかった 酔いも眠気も消え去って、眼下に見える夜景に目が釘付けになった 隣に人の気配を感じなくて、振り返ると君は私を見ていて目が合った 今度は君に釘付けになった 近づいてくる君 そのまま動けない私 「プライベートでも僕を教育してくれませんか」 手を取られて言われて、可笑しな感じもしたけど、手を握り返し頷いていた 君は今度は助手席のドアを開け「どうぞ」と言ってくれた
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