第1章

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私は、暗闇のなかであの少女を見た。 泣き叫び何かを抱えていた少女を。 抱えていたものは、なんだかわからなかった。 少女は、泣きながら自分のせいだと泣きわめいていた。 なぜだか私は、そんなことはないと思った。抱えているものさえわからないのに。 そんな時少女が言った。 「月、やっぱり自分を責められずにはいられないよ」 月、同じ名前、まさかと思った。 そして少女が抱えているものが何かわかった。 確信がなぜかついた。 少女が抱えているもの、それは…傷だらけで血が流れ息を止めた自分によく少女だった。 その時自分の中にある何かを縛る鎖のようなものが砕けた。 そんな感じがした。 瞬間記憶が流れ込んできた。 それは、少女が抱えていた私と同じ名前の女の子の記憶。 一瞬だった。 一瞬ですべてがわかった。 どうして傷だらけで倒れているか。 どうして少女は自分を責めているのか。 そして少年の言っていた伝説の炎の魔導騎士のことも、鎖愚のことも、少女の名前も全てわかった。……自分の正体も。 その時周りが光で包まれた。 目が眩むほどに。 そして目を覚ました。 目覚めた時見たのは、少年が少女を刺す瞬間だった。 少年が刀を降り下ろす瞬間私は、傷のことも忘れて飛び出した。 そして無意識にも叫んだ。 「桜吹雪」 すると桜の花びらが現れ刃となり少年を包んで切りつけた。 そしてもう一度叫んで手を前にかざした。 「桜」 私の手には、黒と桜色をした刀が現れた。そして刀を構え一瞬で切りつけた。 私は、流れ込んできた記憶のなかで一番好きな会話の、最初に言った言葉を少女に言った。 「ねぇ緋果。死んだ人ってどこにいると思う?」 その問に少女はハッとしたように泣き声で言った。 「月……。月…なの?」 私は、うなずいた。 少女は、言った。泣きながら。 「死んだ人は……夕日の向こうに………つ……き……月!」 そして少女は、私に抱きついて泣いた。 その時少年は、私が切りつけたところを押さえながらふらふらしながらも立ち上がった。 私は、そんな様子を見て、緋果に私の後ろにいるように伝え、刀を再び構えて少年を切り裂いた。 少年は倒れ、死んだ。 私の後ろにいた緋果はやっぱりすごいねと言って隣にきた。 その時、視界が遠退き緋果の服を掴もうとしたが間に合わずそのまま前に倒れそうになっな。緋果がそれに気付き私の体を押さえた。
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