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「葵いじめた奴、
同じ目に遭わせてやろうと思ったんだけど。
……なんで実希、生きてるの?」
不思議そうに彗の首が傾く。
あの日聞いた彗の言葉は、
聞き間違いなんかじゃ、ない。
「大体さ。
俺の目の前であんな目に遭ってて、
よく平気で俺んちこれるよね?
葵は俺にみられたことが
一番耐えられなくて死んだのに」
彗の手が、私の頸に巻き付く。
嬉しそうな笑顔。
……あの日。
涙で滲んだ視界にあったのと、同じ、顔。
「死んで?実希、死んで……」
徐々に、彗の手に力が入っていく。
息が苦しい。
きっと、私はこのまま彗に殺されるんだろう。
……でもこれは。
ある意味自分が望んだことだ。
もうずっと、
誰が私の罪を裁いてくれるのを待っていた。
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