第1章

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……ごめんね、彗。 ずっとずっと苦しかったよね。 私を殺して楽になれるんだったら、いいよ。 「……なん……で…… てい、こう……しない……ん、だ……よ……」   パタパタと、水滴が顔に落ちてくる。 ぼーっとしたあたまで見上げると、 ぼんやりとした視界の中に泣いている彗の、顔。 「……確かに最初は、 葵と同じ目に遭わせてやるつもりだった。 でも、一緒にいたら、 実希の笑顔に救われてる自分がいた」   彗の手が、私の頸から離れる。 「それに実希が、葵のこと、 後悔してるのも知ってる。 おまえ、 いっつも夜中に悲鳴上げて飛び起きてたもん」   震える彗の手が、私の背中へと降りていく。 そのままぎゅっと抱きしめられた。 「俺がおまえを殺すなんて、無理なんだよ。 だから、人に頼んだのに。 なのになんで、死ななかったんだよ?」 「……死んで、欲しかった?」 「……当たり前だろ」
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