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……ごめんね、彗。
ずっとずっと苦しかったよね。
私を殺して楽になれるんだったら、いいよ。
「……なん……で……
てい、こう……しない……ん、だ……よ……」
パタパタと、水滴が顔に落ちてくる。
ぼーっとしたあたまで見上げると、
ぼんやりとした視界の中に泣いている彗の、顔。
「……確かに最初は、
葵と同じ目に遭わせてやるつもりだった。
でも、一緒にいたら、
実希の笑顔に救われてる自分がいた」
彗の手が、私の頸から離れる。
「それに実希が、葵のこと、
後悔してるのも知ってる。
おまえ、
いっつも夜中に悲鳴上げて飛び起きてたもん」
震える彗の手が、私の背中へと降りていく。
そのままぎゅっと抱きしめられた。
「俺がおまえを殺すなんて、無理なんだよ。
だから、人に頼んだのに。
なのになんで、死ななかったんだよ?」
「……死んで、欲しかった?」
「……当たり前だろ」
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