第1章

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……気が付いたら。 ボートの中に横たわっていた。 「……?」   ずきずきと痛む躯を起こし周りを見てみると、 遙か彼方に岸辺が見えた。 ……えっと。 私、どうしたんだっけ……?   今朝、彼氏の彗(けい)が迎えにきてくれて、 一緒にドライブに行った。 そろそろ紅葉が見頃だからって、 目的地は少し離れた山。 駐車場で車を停め、遊歩道を一緒に歩いた。 紅葉がきれいだね、とかいいながら。 平日だからか、私たちだけ。 柔らかく笑う彗にドキドキして、 もしかして、いやそろそろ、とか想像してた。 ……だけど。 随分入った山の方で、 知らない男たちに囲まれた。 彗は守ってくれたんだけど、多勢に無勢。
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