第1章

3/12
前へ
/12ページ
次へ
引き離されて、彗の目の前で……暴行、された。 涙で歪んだ視界に彗の顔が見えて、 そこからの記憶が、ない。   ……寒い。 紅葉が見頃なくらいの季節だ。 しかももう日が暮れようとしている。 さらに湖を渡る冷たい風。 震える肩を抱いてみたけど、意味はない。 防寒用に持ってきていた ストールも取られてたし、 服も彼方此方破れてる。 足に至っては裸足。 歯がガチガチと音をたて震える。 ……このまま、死ぬのかな。 そんなことをぼんやりと考えていた。 「おい!大丈夫か!」   掛けられた声に重いあたまを上げてみたら、 眩しい、光。 「こんなところに、なんで!? おい、大丈夫か、おい……」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加