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引き離されて、彗の目の前で……暴行、された。
涙で歪んだ視界に彗の顔が見えて、
そこからの記憶が、ない。
……寒い。
紅葉が見頃なくらいの季節だ。
しかももう日が暮れようとしている。
さらに湖を渡る冷たい風。
震える肩を抱いてみたけど、意味はない。
防寒用に持ってきていた
ストールも取られてたし、
服も彼方此方破れてる。
足に至っては裸足。
歯がガチガチと音をたて震える。
……このまま、死ぬのかな。
そんなことをぼんやりと考えていた。
「おい!大丈夫か!」
掛けられた声に重いあたまを上げてみたら、
眩しい、光。
「こんなところに、なんで!?
おい、大丈夫か、おい……」
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