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光の向こうに現れた人影に安心して、
私は意識を手放した。
次に意識が戻ったとき、
病院のベッドの上だった。
近くの漁師が夜、あの湖で漁をしているらしく、
それで私は運良く助かったらしい。
警察に事情を聞かれ、
覚えている限りのことを話し終わったとき、
彗がきた。
「実希(みき)……!」
彗は傍に来ると、
私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「……生きてたんだ」
……ぼそり、
耳元でそう囁かれた彗の声に、
全身が鳥肌たった。
……なんて冷たい、声。
まるで私が生きていることが、
残念でたまらないような。
「よかった、実希が無事で。
あいつらに連れて行かれてどうなったのか、
心配してた」
「う、うん……」
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