第1章

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「そう? ……もうさ、葵は地獄みたいな日々、 送ってたんだと思う。 でも、あいつは歯、食いしばって頑張って。 それがいじめてる奴らは 気に入らなかったんだろうな。 人に頼んで、葵のこと、襲わせたんだ。 ……しかも、俺の目の前で」   つらいことを話しているはずなのに、 彗はずっと笑顔。 何故かとっても……嬉しそう。 「なにもできない自分を、 あれほど恨んだことはないよ。 そして葵は……その日、首を吊った」   ……あの日のことは。 いまでも今日のことのように思い出せる。 報告とともに送られてきた、 何枚かの写真に気分をよくし、 登校するとあの子の訃報。 一気に目の前が暗くなり、 トイレにこもって朝食べたものを全部吐いた。 ……私が、殺した。 間接的とはいえ、私が殺したんだ! 私はただ、いつも強気なあの子が、 泣いて許しを請うのがみたかっただけなのに!
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