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「異世界に行きてぇ」
「お前、いきなり何言ってんだ?」
此処は地球、そして日本の某所
俺が学校の帰り道でそんな事を呟いていると、一緒に帰っている友人から冷やかな眼で見られた
そんな俺を変人みたいな眼で見るなっての……
「もぎ取るぞ?」
「何を!?いきなり脈絡なく言うなよ、怖い奴だな!?」
「俺の中では脈絡が有ったから大丈夫だ。そして何をってそりゃあ……うん、ナニだ」
「ヒッ!?」
何を……いやナニをもぎ取られるのを想像したのか知らねぇけど、股間隠して内股になるなよキメェから
「死ね」
「死ね!?いきなり死ねとは何事か!つーか、お前会話する気ある!?会話のドッジボールっていうか、最早一方通行なんだけど!?」
「大丈夫だ。問題無い」
「問題しかねぇからな……」
やれやれと首を振る友人
全く、モブキャラの癖に何を言っているんだこいつは……
まぁ良い。それより俺の紹介と行こうか
俺の名前は古鷹薫。16才でアニメやマンガ、ゲーム大好きの極々普通の高校一年生だ
まぁ、ちょっと拗らせ過ぎて最初の台詞みたいな事を言い出すくらいにはアニメとかにのめり込んでるがな
「しっかし、お前そんなに異世界転生物が今のマイブームなのか?」
「あぁ?あぁ、まぁな」
友人モブ夫にそう聞かれ、俺は頷く
確かに俺のマイブームは今、異世界転生物が熱い。きっかけはある携帯小説だったかな?
だって考えてみろ。異世界行って神様にチート能力貰って、そんで異世界でハーレム作って異世界救ってと、なかなかどうして魅力的じゃないか
「俺も異世界転生物は好きだぜ?けど何か食傷気味なんだよなぁ~。似たり寄ったりで」
「別に良いんじゃないか?展開は似てても、俺は面白いと思うぞ?」
「まぁ面白いって言えば面白いけどな~」
「お前だってホントは行きたいんだろ?異世界」
「行けたらな?でも俺は流石に、幻想と現実の線引は出来るからよ」
ハァ……これだからリアリストは……
「だからお前はモブで終わるんだよ」
「ちょっと待て!何の話だよ!?」
「気にすんな。こっちの話だ」
「気になるだろうがっ!」
「はいはい、この話はお終いお終い」
「あ、おい!待てよ薫!」
俺は友人モブ夫を置いていき、帰路を進む
しかし一度なら誰しも、皆思った筈だ。一度はそういう体験がしたいと……刺激が欲しいと
「ハァ……異世界行きたいなぁ~」
「ならアンタで決まりでやがりますね」
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