トモヤ

8/24
前へ
/24ページ
次へ
「あ、えっと、紫色のパーカーに、ジーンズ、です。」 「わかりました。 5分ほどで迎えに行きますね。」 とだけ言うと電話を切った。 公衆電話を出た俺は、緊張を紛らす為に煙草に火をつけた。 ヤバいとこだったらすぐに逃げよう。 などと考えていると、こちらを見ながら歩いて来る人が見えた。 短い髪に日焼けした肌、ガタイは俺よりもゴツい。 この人だったらヤバいよな。 そう思っていると、その男は真っ直ぐ俺のほうへ歩いて来て、目の前で立ち止まる。 「えっとぉ、お電話下さった方ですよねぇ?」 ん??? 外見からは全く想像出来ない優しいと言うかナヨナヨした口調。 一瞬頭が真っ白になった。 が、すぐに、 「あ、はい。」 とだけ返事をした。 「じゃあー、ついてきてもらえますかぁ?」 とだけ言うと、その男はスタスタと歩いて行った。 混乱する中とりあえずついていくと、100メートルほど進んだ先のマンションへ入った。 そのままついていくとエレベーターへ。 男は終始無言のままエレベーターを降りると、すぐ先にある部屋へ入った。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加