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「お願い…聞いてくれますか?」
坂本は戸惑いの表情を見せながらも、きゅるんとした目で梓を見上げる。そして梓は、ニッコリ笑って、
「うん、断る」
「ありがとうございます!!………えぇ!!??!」
「「えぇ!?なんで!!?」」
坂本のビックリの声と一緒に、部屋の扉を蹴破って2人の声が入って来た。
「お?祐、来てたのか」
「おー、梓!今来たとこー…何てカップル会話してる場合じゃない!!」
「ねぇ、祐。いつ梓が君の恋人になったの?ねぇ」
にこやかな笑顔で黒いオーラをギラギラ放出する朝陽。しかし、それを華麗にスルーし祐と呼ばれた男は梓の肩をガシッと掴んだ。
「何でだ!梓!何故断るんだ!!」
「そうっすよ!!なんでですか先輩!」
「お前ら声うるせぇな!」
「こんなにも可愛い男の娘が好きな人とくっつきたいから、いちゃいちゃしたいから、繋がりたいから!!」
「ちょ…!そこまで言ってな…!」
「万屋まで来てお願いしてるんだろ!!?」
「なのに何で断るんすか!」
2人が一気に梓を捲し立てあげると、梓はひとつ溜め息をついた。
そして、
「めんどくせぇから」
と、ただ一言そう言った。
「それと、祐。お前がそんなに必死なのはお前の趣味のためだろ。そんな事の為に俺を働かせるな。…それに、木葉は分かってない。もっとよく頭使うんだな」
「ぐっ……見破られていたとは…!」
「梓先輩…何すか分かってないって…。万屋はみんなの願いを叶えるのが仕事じゃないんすか!?」
「そうだな」
「じゃあ…!!」
「だが、坂本の願いはちげぇ。それが分かんないと…まだまだだね。」
そう言って、梓は万屋の部屋を出て行った。
「…最後のアニメネタやらなければ決まってたんだけどな」
「そんなところも可愛いよ」
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