第一章・ーやぶれたー

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「よし、分かった。今日は俺が布団干すよ」 「え! 本当に? 嬉しいわ、あなた」  いよいよね。この人、本当にそうするつもりらしいから、今から結末が楽しみだしその場で見詰めていたいのだけれど……。 「よし」  ソファから立ち上がり、リビングを出て寝室へと向かったようだ。  何やらごそごそがしゃがしゃ音は聞こえているが、一体何をしているのか、ここからは分からない。  およそ布団を干すのに相応しくもない音で、思わず無慈悲に説教をしてしまいたくなるのよね。 「……あなた?」  急にしん……と静寂が支配して、怖くなって再び呼ぼうとした時に、寝室からそれはもう、耳どころか全身が拒否するような声が響き渡ったのだ。 「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ……」 「あなた? 大丈夫?」  ゆるりと立ち上がり、寝室へと向かう。
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