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「申し訳ありません。人事部のものが皆、出払っているみたいで……」
女性は少し困惑した表情で、こちらに向き直った。
「え、あ………そうなんですか」
麻莉は腕時計を見た。
約束の時間を思い返す。
(時間を間違えたのかな……。
でも、予定表にも書いてあるみたいだし……)
戸惑いを隠せず、苦笑いを返してしまう。
女性はふと思い立ったように、受話器を再び取り上げ、番号を押し始めた。
「…………あ、すみません。
人事部に掛けたのですが繋がらなくて。
10時にお約束の方が見えられているですが………っえ!?」
女性は声をあげて、眉間にしわを寄せた。
「あの……。はい、……分かりました」
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