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1.止まらない鼓動
「すみません。10時に人事部の駒形さんとお約束させていただいている、高瀬と申します」
麻莉はロビー入口にある受付の女性に声をかけた。
小奇麗な身なりをした受付の女性は、手元の予定表を確認した。
「伺っております。採用面接にいらした高瀬様ですね。
担当に連絡しますので、少々お待ちください」
可愛らしい笑顔で一度、麻莉を見た後、その女性は受話器を取った。
受話器を耳に当てながら、予想よりも長い沈黙が続く。
そして、そのまま、何も発せずに受話器を置いた。
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