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なんで、俺が……
入学の日、
晴々と、門を潜ったことが思い出される。
門を抜けると、
眩しさに目を細める。
晴れ渡る空。
美しく花を咲かせる並木。
あの日に戻りたい。
すでに、並木には、花はなく、
新緑になっているが、
あいにくの曇天に色は映えない。
横を見ると、同じように、荷物を抱えた女がいた。
女と目が合う。
俺を馬鹿にしてるのか。
だが、ふと思う。
そう言えば、俺と同じ全て適性なしがもう一人いたと。
門の影になっていたが、
よくよく見ると、女の目は、泣きはらしたのか、
真っ赤になっていた。
女は、迎えの車を待たず、
走って、門を出て行ってしまった。
俺は、車を待って、それに乗った。
首都アルヴの中央駅まで、車で行く。
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