入学

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俺の目を覚まさせたのは、 ドアの閉じる音だった。 クラレンスが部屋を出て行ったのだ。 そろそろ、食事の時間か。 俺は、大きな欠伸を一つすると、 食堂へと足を向けた。 食堂に着くと、クラレンスの姿を見つけた。 その側には、既に男が二人いて、 話をしているようだった。 あいつ、もう、友達ができたのか。 俺、一人じゃないか…… 出遅れた。 既に、食べ終わって、食堂から出て行く者もいる。 料理を載せたトレーを持って、ため息を吐いた。 何となく、クラレンスに近づき、 無意識に聞き耳を立てていた。 少し様子がおかしい? 今、クラレンスは、 うんざりしたような表情を浮かべ、 押し黙っていた。 片方の男の声が荒くなる。 友達じゃないのか。 俺は、クラレンスの前の席に行き、 トレーを置いた。 男二人の視線が俺の方を向く。 何だよ、こいつと言わんばかりだ。 だが、俺の方がその二人より、背は高い。 俺が、見下ろす形だ。 この二人なら、倒す自信があった。 まあ、そんな問題行動はしないが。 「煩いんだが?」 俺は、二人を睨めつける。 幸いにも、その二人は、早々に立ち去ってくれた。 俺は、席に着き、フォークを持つ。 「何のつもり?」 クラレンスが相変わらずのそっけない口調で言う。 「あいつら、邪魔だっただろ?」 俺は肉をフォークで突き刺し、口に運ぶ。 「君が邪魔だよ」 「ルームメイトだろ。もう友達だよな」 「友達になった憶えはないよ。 ルームメイト=友達じゃない」 「そう言うなって。 これから一年、同じ部屋だからな」 俺は、ニッと笑って、クラレンスを見た。
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