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入学式が何事もなく終わり、
その夜は、全員参加の立食パーティーが行われた。
わたしは、ちょっと大人っぽく、
黒のドレスを着て、髪もアップにし、
化粧も施している。
「リリー、待ってよ~」
薄いピンク色の可愛いドレスを着たエリンが
パタパタと駆けてくる。
ドレスは、
エリンの可憐さをよく引き立てている。
「もう、ちょっとは落ち着いて。
一緒に行くから」
エリンの肩までの天然パーマがかかって
くるんとした金髪が跳ねる。
エリンは、尻尾を勢いよく振り、
追いかけてくる子犬のように思えた。
わたしは、エリンと並んで、会場に入った。
パーティー会場は、
入学式が行われたシンプルな造りのホールとは違い、
重厚で、柱にまで装飾が施された美しい建物だった。
「ね、ねぇ、リリー、ど、どうしよう」
エリンは、入るや否や、
きょろきょろと辺りを見回した。
そこには、既に多くの人がいた。
「大丈夫よ。もっと自信を持ってよ」
「あっ!
ねぇ、リリー、あっちで、踊ってるよ」
エリンは、目を輝かせて、わたしを見た。
「ねぇ、りりー、一緒に、踊ろうよ」
「はぁ?
わたしと?
あのねぇ。まずは、他の人とも仲良くなって」
「お願い、リリー」
「わたし達は、
こういう場にも慣れないといけないんだから。
わたしとばかりじゃあ、だめでしょ」
エリンが期待の眼差しで、じっと見つめてくる。
やはり折れたのは、わたしの方だった。
わたしは、エリンと、
ぎこちなく隅の方で踊っていた。
後は、言わずもがなで、食べ物をパクついていた。
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