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「由佳だけだよぉ、そんなこと言ってくれるの」
「混んでるときだとうまくできないかもしんないけど、そのときはごめんね」
「いいよ、そんなのー。他の子とだったら、戦争だもんっ」
子供っぽい美帆は、アタシと同じ年には見えない。
まるで、妹みたいな気にさえなってしまう。
ちょっと夢見がちなところさえなければ、ふんわりしてて、かわいくて。
普通の男の子だったら、こういう子が好きなんだろうな。
女であるアタシから見たって、美帆はかわいいと思うくらいなんだから。
作戦だとか、演技だとかって、美帆のことを嫌う女の子がいないわけじゃないけど。
例え、それが本当だとしても、アタシには絶対にできないことだし。
自分の好感を上げるためだけに、誰かに甘えたりすることって、すごくストレスが溜まることだと思うから、ある意味、すごいことだと思うけどな。
「頑張って、名前くらい覚えてもらうんだよ?」
「うん、ありがとう!」
彼が来たら、必ず誰かとする会話なのに、美帆は本当に嬉しそうに頷いた。
その素直な態度が心に痛い。
美帆だけにしてるわけじゃない。みんなにしてることだから。
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