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若い男性のお客様がレシートを要らないっていう人が多いけど、まさかこんな断り方をされるなんて…。
「じゃあ、捨てておきますねっ」
アタシは慌ててそう言うと、自分の動揺を気づかれないようにしようと、レシートを捨てようとする。
自分では取り繕っているつもりだけど、彼からすれば、すごく分かりやすかったんだと思う。
「そんなに慌てなくてもいいのに」
そう優しい声音で言うと、「またね」と爽やかに笑いながら、颯爽と店を後にしていった。
(またねって何なのよっ)
深い苛立ちが、アタシの心の中を占拠する。
だけど、それを顔に出すことはできなくて。
次に並んだお客様に向かって、作り笑顔を張り付けて、「いらっしゃいませ、お待たせしました」。
今、きちんといつものアタシに戻れているかな?
まだ動揺した顔しているかな。
アタシのことは、アタシからは見れないし、どういう顔してるのかだって、レジが混んでるから、確認できないし。
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