第1章

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ジェマナイの双剣舞 「クッソ・・・」 彼デル・ツヴィリングは、現時刻西暦2037年4月6日月曜日10時25分、窮地に立たされている。理由は単純に入試。だが、この入試は普通とは違う。 『カンプフ・シュテルン』。それぞれのシュテルンビルトの力で、敵を行動不能にする事がこの入試を受かる唯一無二の方法である。  人類の人口の7割を失った『隕石衝突戦線(ラグナロク)』戦役が終わると、人々には特殊な力、『シュテルンビルト』が開花した。そしてこのシュテルング高校は、そのシュテルンビルトの力を研究、及び有効活用する為に実践を行う、数少ない施設である。そして、ツヴィリングはそこの入試であるカンプフ・シュテルンを受けている訳なのだが、これが中々厄介である。ツヴィリングは昔から冗談抜きで頭が悪く、知能試験『シュテルン・プローべ』を受かれる自信が無かった。研究側の道を目指していたツヴィリングは本来プローべを受けるのが常識であるが、実技で受かろうと何も問題は無い。が・・・ 「逃げて無いで出て来い!」 実技もムリだった。そりゃそうだ。本来ツヴィリングのシュテルンビルトは戦闘用では無い。  彼の持つシュテルンビルト『ジェマナイ』。その能力は『同能力を持つ者との意識の共有』である。この能力は、お世辞にも戦闘に役立つとは言えない。それに対して相手のシュテルンビルトは武器を具現化する『物体存在確定能力』である。まあ、そもそもこのジェマナイが役に立った試しなど、この1年1度も無いのだが。 「おい!逃げる気か!?テメエなんかと一緒にタイムアップで終わりなんて勘弁だからな!さっさと出て来い!」 「ヤバイヤバイ・・・」 このままだと入試が終わったら半殺しにされる。 「でもどうしろって言うんだ!」 こんな能力でどう戦えと。半分ヤケになり、相手に突っ込む。 (ああ・・・初っぱなから終わった・・・) 相手が迫って来る中、視界が真っ暗に――――― と、その時。 『貴方に決めた』 どこからともなく声が聞こえる。すると、赤い炎がツヴィリングを包み、2本の剣が具現化した。 「!?」 「ようやく覚悟が出来たか!」 槍を具現化して襲いかかって来る敵を、自然と受け流す。 「くっ・・・!」 そして、そのまま相手に剣を突き刺した。 「何ッ・・・」 相手が倒れ伏すと、アナウンスが流れて来た。 『合格です。勝者は指定した場所へ移動を』
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