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「もし芽衣子さんが生きてたら、僕の友達になってたのかもしれません。同じ時に生きてたら、」
ああ、自惚れてしまった。
そう思うのに時間は必要なかった。つい口から溢れた「もし」が、芽衣子さんの表情を曇らせた。
どうして死んだのか、どうして制服を着たままなのか、どうして学校を彷徨い続けているのかーー。
僕が聞ける立場じゃないくせに、無神経さが露呈した。やっぱり僕は人間に向いてない。
「ううん、直生くんは悪くないよ。そうね、もしこれが現実だったら良かったのにね」
そんなに悲しい顔をしないで欲しい。こういう時、どうしたらいいのかがまるでわからない。
「うっかり死んじゃったの。気づいたらこうなってた。やっぱり私マヌケ」
「そんなこと!」
彼女がビックリしたように大きく目を開いた。いきなり大きな声を出したから、驚かせてしまったのかな。
「ふふ……直生くんが感情的になった。嬉しい」
嬉しい?
「うん、もっと直生くんのこと知りたい。私にだけ見せて欲しい、そういうところ」
彼女は悪戯っぽく微笑んだ。
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