オトモダチ

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 雨が、弱まってきた。雲の隙間から微かな光が射して、電気を付けず薄暗かった美術室が少しずつ明るくなっていく。 「あーあ残念、時間みたいね」  透けている彼女が、さらに薄く消えてゆく。思わず手を伸ばしたが、触れることは出来ず空を掴むばかり。 「また、ここ……美術室に来て下さいね。その時は僕の絵のモデルになってくれませんか?」 「え……」 「芽衣子さんを残しておきたいんです」  確かにいると、証明したい。僕だけに見える存在を。 「私そんなの恥ずかしいわ」 「いいんです、いつもみたいに普通にしててくれたら描けますから。だから」  この先も僕と友達でいて下さいーー。  完全に雨が上がった。二人の時間は無情にも終わりを迎える。もうどこかへ消えてしまった芽衣子さん。どうして彼女は雨の日だけ現れるのだろうか。  学校の怪談、有坂芽衣子。  黒髪のお茶目な美少女。……僕の友達。 【完】
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