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重たい画材を美術室まで運んで、中に入った途端にドアが勢い良く閉まった。ガチャ、という施錠の音付きで。
ヘラヘラと勝ち誇ったような笑い声がドアの向こうからする。やっぱり僕をはめる計画で、あの人を使わせたんだ。
山本らしい小汚いやり方だ。感心する。
まあ、ちょうどいいか。画材を床の上にドスンと置いて、疲れた腕を思い切り上げて伸ばしてみると、だるさが少し違う気がした。
外は薄暗いし、しばらく出られないし。しょうがないから、絵でも描くか。
僕はカバンの中から鉛筆とスケッチブックを取り出した。何を描こうか悩むな。いつも風景ばっかりだから、たまには人間を描きたい。
例えば、儚いような女の子とかーー。
「ふふふっ……」
「え」
「ふふふふ……あは」
どこからともなく不気味な笑い声がする。山本のではない、女子だ。おかしい、こんな頭の中に直接響くような笑いなんてあるはずが。
「あーるのよー。世の中には不思議なことも」
「……あ……なたは……」
僕の目の前に現れたのはーー。
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